金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

帰ってきた天女様

晋山するという人のためにお祝いで用意した吉祥天像。
大変残念な形で帰ってきました。

渡すときにも実は「私はここに来たのだ。よそに行きたくない!」と言っているような異常な胸騒ぎがしたけど。
私が物惜しみでそう思うのかしら?なぜ今になってそんな気になるのであろうか?そのために用意したのだからと思い切って晋山する人間の帰り際に持たせました。

でも果たしてやはり、帰ってくる羽目に…。
いまさらこの話自体についてはもう何も言うことはないけど、このお像が還ってきたのにはたぶん、今一つほかにも理由があったのでは?と思うのです。

というのは…改めて帰ってきた像を見てみました。確かに箱書きに名工、平櫛田中の見極め付という江戸時代の秀作ですが、形像的にはこれは吉祥天とは言い切れない部分があるのです。つまり左手は如意宝珠を持ってはいても右手が与願でない。
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どちらかというと歳徳神みたいな袖で覆っていた形です。
でも歳徳善神は普通座像で表現されるし、宝珠は左手ではなく、右手に持っています。仏像の印相はその尊格を決定する重要な要素ですので、大体それに近けりゃ、少々のデザインの差異はどうでもいいというものではないのです。
貴方はどなたですか?
背中に光背後にしては不自然な穴がある。絵の具が残っているところが曲がっている…。何か載っていたんだろうね。…勝手な想像ですが多分ここには龍かなにかが載っていたのでは?
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となるとあなたは龍女様でしょうか。


…まあ、結論はおいていったん発遣して、いましばらく拝んでみようと思います。
私も密教行者のはしくれではありますのでそうすればもう少し何かわかるかも…と思います。
不見識な私のお詫びも含め拝んでいきます。

明日からお浴油です。
宗議会やらいろいろあって時間がないので今月は一日二座のお勤めです。