金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

宗派が変わると浮かばれない?


この間、相談に来た方、色々宗派が入り組んでしまってどうしていいかわからない。宗派を替えてもう四代目。

だから今さら戻すのは・・・というのと、親の実家のお墓の継ぎ手が無いからそこはその宗派で供養しないと・・・とかでもう三つくらい宗派がかさなっている。そのうえ嫁ぎ先は外国の方で儒教。仏教なんて…という立場。
宗派変えると駄目ですよね…というので「なぜダメなんですか?」ときいてみた。そしたらお母さんがその宗派にご執心だそうです。
じゃあ、お母様が亡き後なら自由にすればと言ったら…逆に「そんなのでいいのですか?」と聞かれた。
ハッキリ言って私は宗派変えたら成仏しないとかいう話は信じていません。

そもそも、よほど修行でもしたならともかく、亡くなった本人たちはそんな宗派の教義なんか本当はほとんど知らない。宗派をうるさく言う人も多くの場合は内容的には何も知らないまま、ただ自分の家は「何とか宗」と固執しているだけですね。
宗派の優劣を言う。これは専ら専門の修行者、求道者、つまり僧侶の領域です。素人に関係なし。

今の宗派は江戸幕府が作った戸籍簿代わりの宗旨人別帳に元づいて決められただけ。
それを断じて変えてはいけないというお話、現代ではどうなんだろう。
宗派変わると「おかみに逆らう不届きもの!」でお叱りがあるとか(笑)
第一幕府は宗派の優劣なんかしりません。皆等しく檀家を定めました。
この宗派は駄目とかはない。だって檀家制度自体が政治的配慮から出ているのですからあるわけない。

そうはいっても、私も既成宗教にいる身の上ですからあえてコロコロ宗派を変える必要はないし、そんな軽いものでもないと思うけど、…変えたら故人が苦しむとか地獄に堕ちるというのはないと思う。
お寺だって宗派は変わることはありますもの。
私は此の宗派じゃないと救われない、この御経以外は駄目ですなんて話はもうそれだけで聞く気持ち全然なし。

それでもこの方の場合はやはり宗派が気になるので研究したと見えて、この際、天台宗系なら八宗兼学だから禅、戒、圓、密、浄土もどれもあると思って信者にしてほしいという。
でもそんなの無意味でしょう。
ただでさえ、この方関わる宗派が多くて困っているのに。
この上また別な宗派?

その方の家では仏壇は本尊が阿弥陀様なんですが。私は「もう宗派なんかあんたの場合は実際の話があっても、ないような状況でしょう。一々宗派なんか意識しないで念仏でもお題目でも般若心経でも好きに上げたらいいですよ。あげていけないお経なんか一つもないから。そもそもお経に宗派なんて出てこないですから。宗派によって浮かばれるの浮かばれないのはありえない。」と言っておきました。
エ、阿弥陀様にお題目?と思う方もいるでしょうけど法華経にだって、阿弥陀仏の住む極楽の話は出てくる。

だいいち何経あげようが、その功徳が皆回向されていくわけでしょう。
必ずしも直接お経を亡者が聞くわけじゃない。
ならお経は何でもいいと言うことになるでしょう。
私はそう思う。