金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

見習いたい悪役「ドクター・ヘル」

私の師匠は部屋で、内符書いたり、ヒト型切ったり、お札を折って作るなど、手作業が多かった。
それでテレビがつけっぱなしになっていることが多かったものです。
ある日、御祈祷の仕組みについてお尋ねすると「ほら、よくテレビの漫画であるやつ、大きなロボットに乗り込んで操縦するの。あんな感じ。本尊に同化して動くわけだ。
でも、その自分にもまた本尊さんが乗って操縦している。そこはちょっと漫画と違うね。」
実はこれは当時放送していた「マジンガーzというアニメのことなんですね。
師匠がそういうアニメも見てたとは・・・意外。
そういうわけで私もまじめにみることにした「マジンガーz」。
結構はまりましたね。
ロボットに人が乗って操縦するという考えは当時としてはとても斬新でした。ロボットは鉄人28号みたいに弁当箱みたいので操縦するか、宇宙家族ロビンソンに出てきたフライデーみたいに自分で勝手にしゃべったり、自らで動くというのが普通だったんです。
でも以降はむしろのスタイルがロボット物の主流になってエヴァンゲリオン(これをロボットというのは正確ではないけど・・・)まで続くんですね。
マジンガーzは兜甲児という高校生がそれを操り、世界征服をたくらむドクター・ヘルの機械獣(平たく言えばロボット)軍団」と戦う話。
永井豪先生がロボットをそういうふうなものに描いて、乗り物の延長ムードなんですね。これが乗り物好きの当時の人間に受けたんですね。

マジンガーz・インフィニティ」という映画が最近、公開されたので懐かしさもあって見に行きました。これは本編から10年あとの話という設定。
映像はいいわね。さすがに。
ストーリーも悪いということはないけど、その中で面白かったのが話の筋というより、主人公の兜甲児が敵であるドクター・ヘルの心を推測する。
兜甲児はなぜ彼が世界征服したいのか、それを懸命に推測するんです。
たぶん、富や権力じゃない。それはそうでしょう。命を捨ててくれるような部下はいっぱいいるし、機械獣もあれだけ沢山作れる財力は半端じゃないもの。
実は世界征服は彼の「好奇心」のいたすところなんですね。
それが兜甲児の出したこたえ。
これ面白い!
そう、ドクター・ヘルはいい爺様だけど、好奇心だけはすごいんです。
だから10年たった兜甲児が「お前も年を取ってずいぶん、落ち着いたな」みたいな嫌味を言われる。
「むかしのお前はもっと無茶苦茶で直情的でよかったぞ」というようなことを言う。
「本当はお前は自分と同じタイプの人間だ」とまで言う。

幾つだか知らないけど。10年前にすでに爺さん。それが、その年になって世界征服なんてたとえできても普通しんどいでしょう。
考えてみればそのドクター・ヘルについていく部下の「あしゅら男爵」や「ブロッケン伯爵」も同じくらいクレージーでおバカな人々だが尋常じゃないバイタリティがある。
そこは彼らもとても魅力的です。
いやあ、還暦過ぎた身としてはみならいたいですな。
ドクター・ヘルを。