金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

目黒不動様と比翼塚


昨日はセミナーまで時間があって目黒駅から目黒不動様を参拝しました。
本当に久しぶりです。

目黒不動様のお使いはどうやら御犬様のようですね。
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これはその昔、下野の慈覚大師様が入唐以前にこの地にお寄りになり、夢にいかめしい神人のお姿を拝された。
大師はこれは近くに祀られる大鳥神社のヤマトタケルノミコトのお姿であろうと有り難く拝すると、かの唐の国にわたられました。

さて唐の青龍寺につくと、なんと夢に見た神人のお姿が祀られていた。
夢に出てきたのは実はヤマトタケルならぬ不動明王様であった由。
天台宗においてはこの慈覚大師様が初めて不動明王を請来されて横川中堂に祀られたのです。
然して帰朝した大師がその不動明王を刻んで安置されたのが今の目黒不動すなわち泰叡山滝泉寺様であるといいます。

御犬はもともとヤマトタケルの眷属でしたが、習合してか。境内には犬の像が多い。
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こちらはお滝行を頂き行場の青竜権現、真言宗の清滝権現とは字が違います。
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石段下から遥拝。
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境内にはもう梅が咲いています。いいですね。
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こちらは門前の稲荷大明神と比翼塚。
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比翼塚は辻切強盗になり果てた武士、白井権八(本名 平井権八)と彼の恋人であった遊女
小紫のもの。仲の良い恋人を弔うのが比翼塚。
小紫は死罪になった権八の後を追ったといいます。

これを見てこの日私は、江戸の人は凄いなあ・・・と思った。

誰が建てたか知らないけど。100人以上斬ったという人殺しの大罪人、権八の罪は罪として小紫との悲しい末路を憐れむ心があるんですね。
だから二人を供養する比翼塚が残っている。
罪は罪で当然厳しく罰されなくてはならない。しかし、二人の間の情けは情けということなんでしょう。
ときのお上も名前が世上をはばかり平井から白井になっているとはいえ、裏事情を知っても、なお撤去していないのがすごい。
(もっとも場所は移転したようですが)

こういう心は およそ私には全くもちあわせがなく欠如していると思う。
それがいいのか?悪いのか?
比翼塚でそんな江戸の人の細やかで豊かな心には気づかせていただきました。

南無大聖不動明王。