金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

聖天様と不動様2


考えてみれば西日本一有名な聖天のお山を開かれた生駒の湛海様も不動行者です。

生駒山宝山寺のご本尊はお不動様であります。聖天様はいかにも人気があって本尊みたいですが実は護法神です。

でも、こんな実例があってお不動様と聖天様は一緒に祀っては良くないという人もいるようです。
その話というのは、はじめ一生の本尊として不動尊を拝んでいこうという湛海様は、そうでなく自分を拝んでくれとしつこくせまる聖天様に困ってついに不動明王を念じられたという話です。
聖天様はいろいろ美味しいことを言って湛海様を自分にひきいれようとするけど、湛海様は世福に興味なし。それで不動明王のお力でうるさい聖天様を追い払ってしまおうとされた。
そうしたら夢の中で聖天とその眷族が明王の炎をおおいにおそれて逃げ回ったという。だからこういうこと聞くと聖天様はお不動様がとても苦手のように思う人もある。

大事なのは元来は毘那夜伽だの鬼神の類は明王を恐れますが聖天様の場合は大聖歓喜天というくらいで大聖がつくから権類天ということになっている。

同じく訶梨帝母(鬼子母神)に金剛部(明王)の真言を唱えてはいけないという。
しかも寺院の堂内で祀るなという。
これは餓鬼に準ずる扱いなんでしょう。

鬼子母神は法華経では守護神で出てきますが、祀り方は書いていない。
元来が同じく法華経の陀羅尼品で守護を誓う毘沙門天の配下ですから毘沙門天が動くなら動くという意味でしょうか。

まあ、でもそういうことは無視して日本では堂内に祀ってある。
訶梨帝母は私の属する宗派ではとても大事な天部です。
園城寺一山の守護神。護法善神といえばこの方です。

園城寺の三井曼荼羅では金剛部の黄不動と同じ曼荼羅に描かれています。
だからその辺はこだわらないのが日本流なんでしょう。

聖天様とお不動様も一緒にまつっていいんです。

日光修験の伊矢野先生のところは聖天様の前行はお不動様だそうです。
伊矢野師がそのようにつくったんじゃなくそういう伝があるという。


昨日私と「聖天信者にはなんか難儀な人多いですね」と話をしたのはお不動様と摩利支天さんを祀る私の弟子・蒼龍院さんです。

聖天信者なのにそこに行く理由は聖天様に祈願したのと同じことの成就をなかなか遅いと思うのかまた、今度は摩利支天で祈ろうというお気持ちからでしょうか

確かに摩利支天は強烈無比な威力がある。
祈願の結果も早いことは隋一と言っていい。私もこれはという火急の祈りは摩利支天様にすることも多い。

でも聖天様とおなじ祈願をすること、それはいらないことです。
聖天様は「なんなのだ。俺に頼んでおいて・・・」とやる気なくす。
そういう極めて人間な心情で我々を教え諭す方ですからね。
聖天様は。
摩利支天様だって「もう同じ祈願はしているではないか?}と思う。
結局あちこち祈るのはかえってうまくいかない。

蒼龍院さんには摩利支天と並んでお不動さんがいます。
摩利支天様に聖天様と同じ祈願をするよりはどうせならお不動様で「滅罪生善」「功徳倍増」を祈ってもらったほうが合理的です。その方が祈願の上から見てもずっといいと思いますね。

滅罪の功徳と祈願は車の両輪ですから。