我が母はまた私に負けず劣らず昔から変なもの見る人間でした。
女学生のころのこと、学校まで二里(8キロ)歩いて通っていましたので、その道すがらにいつもきまって休む大きな大きな石というか、岩があったそうです。
ある日の帰り道に例によって岩に腰かけて少し休んでいたら、ちらっと小さな女の人の顔みたいなものが視界に入って見えたそうです。
不思議に思ってよくよくみたら、ちょうど歌舞伎の御姫様みたいに前刺しをズラリとして日本髪の顔。それがすっと隠れた。
その時逃げていくのを見たら、その胴体はなんと蛇体だったそうです!
しかも一人でなく次々三人というか三匹というか…すすッと石の下に入っていった。
そこで捕まえてみようと岩の下を必死で探したがもういなかったという。
まあ、今は宇賀神様だったのかねえ…などと言っておりますが。
捕まえないでよかった。罰あったったかも(笑)
それともっと不思議なのは、道にゾウの行列が来た話。
見事な鞍を付けたゾウが何頭も続いて砂煙あげて歩いていく。それを道の脇で見ていた記憶がある。
不思議なのは人間は一人もみなかったそうです。
ただもうもうと砂煙を上げてあとからあとからゾウだけが行く。それをただただ眺めていて…気が付くともうずっと何キロの先のの竹やぶに急に来ていた。
まるでテレポテーションが起きたみたいな話です。
成人して父と結婚してから四国の漁村港に夕涼みに出たら、釣り道具を下げてはな歌うたって少年が行く。
何気なく同じ方向に行ってみたら、少年はその先の船着き場だかで釣り糸たれている。
だが由夕暮れの薄明りの中、むきだしになった脚や腕にはくっきり一面びっしりと鱗が並んでいるのを見たそうです。
私の祖母は狐の嫁入りを遠くに見たという。
遠くのあぜ道に一面提灯がともり、小さな足がちょこちょこ並んで進むのがはっきり見えたそうです。
祖母だけじゃなくそういうのを見た人は普通にいたそうです。
昔は異界がすぐとなりにあったんでしょうかねえ。
まあそんなんじゃなくて私も含めて先祖伝来の精神疾患かも。
医学的にはそっちの方がたしかですね。(笑)
よく白昼夢や幻覚を見たユングの血筋にも伯母さんに霊能者とかいたそうですね。
そういうのは遺伝するのかな。
不思議と母の家系は幽霊とか死んだ人はみないで妖怪みたいの見るのが多い。
私も幽霊は見たことない。妖怪みたいのは稀ですが…あります。