若いころ。手が痛くて医者にいきました。放っておいてそのうちに治るだろうと思ったがなかなかそうならない。
で、レントゲンで見たけどどうにもなっていないという。
医者も首をひねる。
終いに人づてに大病院の副院長にまで見て頂いたがそれでもわからない。
内科的な病だろうということになった。
ついには痛風かもしれないからということで血液検査をしたがそうではない。
どうもわからない。
いよいよ不可解でこれは某大学病院で精密検査という事態にまで行きました。
それでN先生(武術家で手わざ治療もする)にその話をしたら、一目見て「手のひら出してみろ、指しっかり伸ばせ!」と言っておいて指先をバンとたたいた。
手ごたえがあって、しばらくして嘘みたいに痛みはなくなりました。
「いったい、どういうこと?」と狐につままれたような気でいたら
「亜脱臼だ。」という。それが証拠に先生が見たら軟骨のあるところがへこんでいたという。そういえば妙に手の甲が一か所へこんでいた。
それで先生はたたいていれただけ。
「でも、レントゲンに写りませんでしたが?」
「それは軟骨だから写らないのさ。」
あれだけ多くの先生が集まってわからないと首をひねっていたのに・・・
私もいっしょになって不可解な病気だとばかり思っていた。
「早く俺に聞けばいいのに、医者がいうからと頭から妄信するからそうなるんだ。
それが証拠に今の今まで俺に相談しなかったじゃないか。だからおめえはバカなんだ!」とN先生は笑った。
この時私には「人間というものには盲点があるんだなあ。そして、それは自分の思い込みが作るんだな。」とつくづく教えられたのでした。