金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

掌悪 掌善の二童子のこと

 

今、講員様の小さなお地蔵様の御厨子をお預かりしてご供養していました。

延命地蔵菩薩経によれば地蔵菩薩にはお不動様の二童子によく似た脇侍がいます。

この御厨子の地蔵様にもお童子さんが二人ついています。
 
※講員様の許可のもと 掲載させていただきました。

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お経では
※ 時に二童子、左右に侍立す。一を掌善と名け、左にありて白色なり。白蓮華を持し法性を調御す。
 一を掌悪と名け、右に在りて赤色なり。金剛杖を持し無明を降伏す。
 佛、大衆、に告げて曰く 「 汝等當に知るべし、 是の二童子は法性無明を両手両足にす。延命菩薩は中心不動、阿字本體なり。若し衆生ありて是の心を知る者は決定成就す。三毒を即滅し自在の力を得て 佛土に生ぜんと願はば その願に随って生まれることを得ん。」
 
とあってそれぞれ掌善童子は法性を調御す。掌悪童子は無明を降伏するという役目があることになっています。
 
「法性を調へ御する」というのは分りにくい言葉ですが、調御は調節する意味。地蔵菩薩はもともと南方宝生仏の化身、和光同塵の存在故、その仏の威光をやわらげ菩薩と現じた方だからでしょう。
つまり真如法性そのままではないお方なのです。
ほかの菩薩様奴比べると声聞形と言って飾り気のない仏弟子のお姿で接してくれます。
基本的に我々とそう変わらぬお姿です。
そう考えれば地蔵菩薩を離れて二童子はない。
 
地蔵のお働きをあらわしたのが二童子であると思います。
掌悪童子にしても無明を降伏するというのは悟りそのものですが、皆さんが地蔵様を拝んでもそれだけではそう簡単には悟ることはできませんね。
掌悪童子は我々の無明の働きを抑えてくれるのだと思います。
 それが降伏無明と言う意味。
 
地蔵様の御利益は派手な感じではないですが、いつも我々のことを憶念されて目に見えぬお働きをされている。
丁度、社会に出た息子や娘を家庭で見守る母のように。
地蔵さまはそういうお方だと思います。
そんな母へは何を特別してくれたかではなくても「いつもいつもありがとう」ですよね。
地蔵様への信仰もそうありたいと思います。