金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

地蔵菩薩本願経見聞利益品偈 1

地蔵菩薩のお経としてよく読誦されるのは和製の延命地蔵菩薩経

そして地蔵菩薩本願経の「属累人天品」か、この「見聞利益品偈」でしょう。

ここでは礼拝要点にも記載がある「見聞利益品偈」を見ていきます。

 まず意訳します。

 

吾觀地藏威神力, 恆河沙劫說難盡,

われ地蔵菩薩の威神力を見るに、それは恒河沙(ガンジス川の砂 転じて大変な量を言う)の時を尽くしても説き尽くしがたい。

見聞瞻禮一念間, 利益人天無量事。

一念の間も地蔵尊の名を聞き、姿を見て礼拝すれば人天を利益すること無量である。

若男若女若龍神, 報盡應當墮惡道。

男でも女でも竜神のようなものでも善因尽き果てれば悪道に堕するのは同じだ。

至心歸依大士身, 壽命轉增除罪障。

その時、至心に地蔵を礼拝せば寿命を転じて増益し罪障を除くだろう。

少失父母恩愛者, 未知魂神在何趣,

年少なくして父母に死に別れし者 その魂はいずくにあるか知れず。

兄弟姊妹及諸親, 生長已來皆不識,

兄弟も姉妹も親も知れざる者 生育してもおのれの家族を知れない者。

或塑或畫大士身, 悲戀瞻禮不暫捨,

地蔵を描き、作って ひたすら信仰して余念なく

三七日中念其名, 菩薩當現無邊體,

二十一日間その名をとなえれば、菩薩はまさに無辺の体を現ずる。

示其眷屬所生界, 縱墮惡趣尋出離。

そしてその家族の生じたる世界を示して引導し、たとえ悪道に堕ちていようとも悉く出でしむる。
若能不退是初心, 即獲摩頂授聖記。

もし人がこの地蔵の初発心の誓願を忘れなければ如来の授記(未来成仏の証)をうけるであろう。

 

地蔵さまは亡き家族同士を会わせてくれる仏様として書かれています。

ここのあたりが俗に言う水子供養の出どころと思います。

水子さんも地蔵さまは家族に会わせてくれる。

水子さんは父母の縁に触れてはじめて得脱する。

それは命はつながっているからです。

私が母だ。私が父だ。そういう名乗りを聞くことで水子さんはまず救われる。

母でも父でもない冷たい気持ちから堕胎される子も少なくないでしょう。

そこを父母の自覚で供養する。それがなければどんなお布施の供養したって通じません。

そのためには21日間、地蔵の絵でもいい仏像でもいい、一心に拝んで冥福に回向することが大事と言います。

このあたりが大事と考えて当院では地蔵様のおミエをお施餓鬼申込の皆様にはお届けしています。

至心に礼拝せば家族縁者がどこに射ようと、地獄だろうと必ず救ってくださるとお誓いになっているのです。

 

地蔵尊を礼拝することとは真心をあらわして頼むことです。

別に平伏すれば地蔵尊が感心するわけではありません。

先祖や今は亡き縁者に良き境遇でいて欲しいという真心が何より大事です。

地蔵尊は無辺の体をもってそうなさる。

無辺の体とはあらゆる人や物事や機会を活かしてということです。

地蔵さまがダイレクトに出てくるのではないのです。

身の回りすべてが地蔵さまとして働かれる。そういうことです。

こうした地蔵の誓願を深く信じる者はそのまま菩提道を歩むことになります。

そうした回向の心もそのまま、また菩提であり、菩提道を歩む心はそのまま回向となるのが大乗の道です。

それを仏が頂をなでで褒めてくださると表現します。

 

つづく