駒澤大学名誉教授・佐々木宏幹博士。
駒沢時代、文化人類学の講義を聞いてとても感銘を受けました。
今でも最も記憶に残る講義でした。
社会学科心理学コースの私にとっては選択授業の一つでしかなかったのですがユーモアたっぷりの博士の講義が大好きでした。
2000冊を超える御著書のある現代民俗学の大御所です。
特にシャーマニズム研究の世界的な第一人者です。
その講義の中で最も青天の霹靂だったのは「祟りと呪いの話」
最高学府に来てそんな話が出るとは全く驚き。
大学って面白いなあ‼と思った。
内容はこういうこと。
ある男性が散歩中、イヌに稲荷社の社殿におしっこさせた後から良くないことが連続して起こる。
男性はあれこれ悩んだ末に民間宗教者を訪ねて、その事実を指摘される話。
話の主題は祟りや呪いに関する社会学的な考察でありますが・・・学生の一人が、「なぜ、その宗教者は彼が稲荷神社で犬におしっこさせたとわかったのでしょうか?」
そこに突っ込んだ。
すると博士は「それは透視とよばれる特異能力によるのだと思うのです。」とあっさり超能力を認めた。
実は民俗学者はフィールドワークで多かれ少なかれそういう不思議を知っている。
だから心理学者などより事例としてそういうことは山ほど知っているのだ。
心理学者はただ主訴に基づいて、心理学的に問題のメカニズムを考えるのみだからそこは違う。
後年、博士の市民向けの講座を見つけて参加して、帰りの電車で偶然ご一緒しそのころのお話をしました。
たぶん、覚えていらっしゃらなかったと思うし、もちろん私のことも記憶にはないでしょう。過去も今も。
でもある意味、大学で受けた博士の講義は私の人生の原点になっているものなのです。
なにせ民俗学の大御所が神秘の世界を認めているのですから!
このことは大いに私を勇気づけ、その後の人生の方向を付けてくれたものなのです。
1930年生まれで今では90代になられたようですがいつまでもお元気でいてほしい方です。