私が駆け出しのころ、師匠から「あんたね、祈っても祈っても自分の手に負えなかったものはどうする?」と聞かれた。
「それは、・・・もう先生にお願いする以外ないと思います・・・」
すると師匠は
「それでは出目だ。
それではアンタなんのために看板背負って拝んでいるんだということになるよ。困ればよそへ振るというなら初めから看板など出さぬことだよ。自分が手に負えないような場合でも、どこかほかになんとかしてくれそうなところを知らないか?と聞かれたら必ず知らないと言いなさい。」
それが師の答えだった。
今考えるとそれが痛いほどわかる。
私もわが弟子がたとえ、しくじったものにせよ、手を貸す事は決してしないのもそのためだ。