祈祷の達人であられたT大僧正、たぶん、その大僧正をしのばれて宇賀神供21か座を修したと思われるお札が兄弟弟子のK師から頂いた。
大僧正は宇賀神浴酒を最も好まれた方だからだ。
そして彼は大僧正の薫陶を多く受けた人。
私もまた修義、浴酒のご指導を賜り、聖観音、地蔵、毘沙門のような普通法から双身毘沙門の法や法華法、孔雀法などの秘法も多くを賜った。が、彼ほどでは到底ない。
彼は幼少期から一種のエスパーであるが、それにとどまらず修行にいそしんで密教の奥義をたずねた稀有の人である。叡山学院にあっては天台座主賞まで頂くほどであったらしい。
K師は後輩に当たる人間だが神通広大にして学も行も私のような凡夫の及ぶところではない。
また、T大僧正から秘伝調合の香を教えられたそうで大僧正はこればかりはめったに人に明さなかった自慢の調香である。
大僧正との関係の深さがうかがえる。
その御香もちゃんと添えられてきた。馥郁として焚けば大僧正のご自坊を思い出す香だ。
切にご冥福を祈るところであるが、あれだけの方である。
今頃は聖衆に囲まれ、浄土においでだろう。
生前にたまわった御縁と御恩に改めて心より感謝いたします。合掌。