天平時代、日本に仏教の戒律を伝えた鑑真和上は何度も日本への航海に失敗してついに失明のうちに日本に到着された。
仏道修行も障礙が起きても負けまいとする気持ちは大事だが、障礙には過去の宿業により修行の妨げとなって出るものと、自らの不心得や不徳で招くべくして招く障礙がある。
前者は天魔の障礙なども含む。
天魔は欲界主であるから解脱して欲界から出ようとするものを嫌う。
だから解脱と無縁な徳や仏縁の薄いものは天魔は安心して妨げない。
これはものになりそうだという修行者にこそ目をつけてその修行を壊そうとする。
後者は専ら不徳の果てだ。
そういう人が密教などでは器にないものを求めても外されることはよくある。
そういう時無理に求めて修行しても法として機能せずより強い禍いとなってでる。
後者は一から出直すか、もう行はやめるかだ。天魔も相手にはしない。