五戒の三番目、不邪淫戒は夫婦の道を乱さぬようにということです。
元来、僧侶は不淫戒で色欲は慎むべきものと言いますが、在家戒においてはもそうではない。
子孫や後の世を想えば夫婦の道は国の大本です。世俗のことでは極めて大事なことです。
色欲は基本的な生物の欲です。
特に生物の常として若いうちは大変強い欲求となります
大乗八宗の祖という竜樹菩薩(ナーガールジュナ)でさえ、若い在家のころは大胆にも後宮に忍び入って官女と通じたといいます。
しかしいっしょに忍びこんだ友人が捕まり死刑になりました。
竜樹にはそれが大きな衝撃で出家の動機を押すことになります。
妻帯されていない方でも誠実な交際をすることは人として当然のことです。
恋は思案のほかと言います。それゆえ恋多き人はドラマチックでその人の人間的な面白みも魅力も増すのですが、それでも踏み越えてはならない一線はあるものです。
またこれは一般には関係ないですが、色欲は諸天尊の行者は特に戒めるところといわれ、諸天の行者は時に厳しく注意するべき事です。
諸の天尊のなかは自分を最も大事に思うことを行者に要請するものもあります。
それゆえ時に行者が恋に深く囚われているのを嫌うことがあります。
それは天部ゆえの煩悩で「やきもち」とも言えますが天尊に仕える者にとってはそれもまた修行でしょう。
若い行者は特に心すべきです。
もちろん、信者においてはそれはありません。