news.yahoo.co.jp
「中村哲医師は、35年の長きにわたり、アフガニスタンとパキスタンで医療活動を行い、干ばつ被害に苦しむ人々の命を救うため、無謀と言われた用水路建設に乗り出した。戦乱がつづくなか、中村医師は現地住民の先頭に立って困難な土木工事に挑み、完成した用水路は、いま65万人もの人々の暮らしを支えている。 その生涯を振り返ると、偉業を成し遂げ得たうらには、中村医師の深い洞察にもとづく独特の哲学があったと思われる。アフガニスタン現地でながく中村医師の片腕となって活動してきたジア医師は、中村医師をこう評する。 「すばらしい医師であり優秀な土木エンジニアでしたが、それ以上に哲学者でした」 中村医師は、今の日本と日本人についても独自の見方で鋭い指摘をしてきた。一年を振り返る師走にあたり、中村医師の言葉をたどりつつ、これからの私たち日本人の生き方を考えてみたい。
■ 「日本人には人を思いやる心がある」は幻想なのか 先日、友人が定年で長年勤めた会社を退職し、ねぎらいの酒宴が開かれた。その席で、同年輩の友人が「おれたちは逃げ切れるよな」と言うと、多くが笑いながら相槌を打った。それを聞いて、ある週刊誌に「五十代は逃げ切り世代か」という特集が載っていたのを思い出した。 “逃げ切り”とは、社会保障の破綻など、近未来に予想される“国難”を自分は見なくてすむということだ。この言葉には、「人生の目的は自分(だけ)が幸せになること」で、「死んだらオシマイ、生きているうちにせいぜい楽しもう」という利己的で刹那的な人生観が露骨に示されている。わが亡き後に洪水は来たれ、である。 中村医師はずいぶん前から、自分のことしか考えない日本の風潮を嘆いていた。 「『自分の身は針でつつかれても飛び上がるが、他人の体は槍で突いても平気』という人々が急増している」*1 私も日本人の一人として耳が痛いが、実際に私たち日本人の他人への無関心、無配慮は、「エゴイスト」と批判されてもしかたのないところまで来ているようだ。」
日本は、いや世界は惜しい方を失った。凶弾に散った中村哲先生。
日本の誇るべき偉人であり大菩薩です。