ビクトリア朝時代のテディベアを見ると、現在のもののようないかにも「かわいい」姿ではなく、もっと「熊らしい」姿をしていることに気づくだろう。 当時は、食物連鎖の頂点に立つ捕食者の実物そっくりなぬいぐるみがベッドで共に寝ていれば、子どもが強く育つはず、と考えられたのかもしれない。 だが、その後、子どもっぽいかわいらしい見た目のぬいぐるみの方が愛着を持たれやすい、と玩具メーカーは気づいたのだ。そういうぬいぐるみだと、子どもが親に買ってくれと強くせがむのでよく売れる。 そのため、テディベアは次第に現在のようなかわいい見た目に変わっていった。私たちは生まれつき、動物の赤ちゃんをかわいいと思うようにできているらしい。 雌ライオンが、本来、被食者であるはずの動物の子どもを世話する理由もそこにあるのではないだろうか。