今はもうその施設はないようだが、小学生のころ、御殿場で3日卯ばかりの合宿があった。
休憩時間は近所の沼で水カマキリやイモリなどとって皆で遊んだ。
今でもあるのは仏舎利塔で当時はなんだろうと思っていた。
御釈迦様のお骨が入っていると聞いて少し気味悪く思ったものだ。
もったいないことだ。

そんな合宿の夜、先生がホールで怪談話をやるという。
同室の皆は先に行ってしまって、私はひとり遅れて行った。
そうしたら廊下からホールに移る踊り場の酢の個当たりで前方の空間に「文楽人形」のようなものが横切るのを見た。高さから言って人が持っているものと思えたが人は全く闇と判別できない。
鎌を持った鬼婆とまゆの太い入道だった。持っている人は暗いせいか全く見えないが、「人形らしきもの」だけはハッキリ浮かび上がっていた。
そうしてホールに行くと何やら芝居の大道具気みたいなものが立てかけてあり、皆がやがやとやっている。
「こりゃ大掛かりな人形劇か」と思ったら「中止、中止!」という声がして「部屋にもどれ」といわれた。
今度は私が最後尾だったのでいち早く部屋に戻った。
するとすでに皆いる。
「怪談、中止になったんだよね。」と言うと「そうみたいだね」と同じ部屋の子が答える。
「なんであそこまで準備してやめたのか」というと「え、準備なんかないでしょう。もう夜遅いからやめたみたいよ。」といわれた。
「だって皆行ったでしょう?ホールに」
「だれもいかないよ。そんなとこ・・・・。」と言われた。
これが子供にありがちな幻覚と言えばそれまでだが・・・
そう思えば多くの怪異は自らのうちにあるものかもしれない。