金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

円空仏

なんとなく少しばかり春めいたこの頃ですね。
今日は横浜の某デパートで「円空と木喰展」をしているのを例祭の買い出しの途中で見つけて寄り道してきました。
リアルで写実的な仏像が好きな私は今まではあまり円空も木食も興味がなかったのですが,間近に拝んでビックリ!その迫力に圧倒されました。
特に円空仏には勿論、鎌倉期の慶派仏師にみられるようなリアルさは全くないのですが、かえって素朴なだけに古代人の崇拝する神像のように重く、そして大きく仏像自体のありがたみより、かえってこれを彫らしめた存在(仏)の息吹が背後に実にリアルに有難く感じられました。
気がつけば合掌したり片手で拝みながら会場を拝み回っている自分がいました。
おそらく円空は仏を彫ったのではなく終生彫らされてきたのに違いありません。
対するに木喰は天才的芸術家です。自由闊達に仏像を通して自分を表現した人であると感じました。故に木喰には自己の尊像がありますが、仏に彫らされてきた円空の自己像は見当たりません。円空は少なくとも自己表現の為に仏を彫ったのではありますまい。円空の仏はあくまで崇敬すべき、しかし少しでも歩み寄りたい存在だったと思います。
円空仏はあまり研究はしたこともないので分りませんが、おそらくそういう自己像などはないのではないでしょうか。
勿論、木喰も素晴らしいのですが仏像製作は「祈り」であって芸術に非ずと云う私の立場からは円空の方が心により強く響きました。