金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

歳徳神と八将神

歳徳神のお札は従来は星まつりに出していましたけど星をお迎えしないといけないということなので冬至前に出すことにしました。冬至から節分までお祀りしていただきます。
希望される方は早めにお知らせくださいね。今期から星まつりでは出しませんので。どなたでもお出ししています。(ファクスでいいです。初めての方はお名前と御住所、電話番号を忘れないでください。)

さて、歳徳善神は牛頭天王(スサノオノミコト)のお妃といいます。
牛頭天王は南海の娑伽羅竜王宮に皇女を嫁として迎えに行き、日本国に立ち寄ったといいます。
日本に立ち寄ったというのですから日本起源ではなく、朝鮮半島から来たのだというのが最近の考えですね。
スサノオノミコト高天原にいて狼藉をしたといいます。それで追放になり新羅のソシモリというところにいらしたけれど、嫌で五十猛の神々を率いて日本にこられたらしい。
ソシモリというのがどうも牛の頭の意味で古くは牛頭山という山があったらしいのです。つまりそこの神様。
私は神道灌頂で当たったのがスサノオノミコトだったのでなんとなくなじみがあります。
スサノオノミコトの奥様は櫛稲田姫で、日本にきたスサノオノミコトは八俣のオロ「いけにえ」になりそうだったのをオロチを斬って助けた。
方や南海の竜宮で嫁とったという話があるけど、どちらにしても竜蛇がらみで南方(朝鮮から日本は南ですから)です。
国つ神は龍蛇信仰を秘めている。だから大国主も大物主も蛇。子供の事代主もタケミナカタも蛇です。
時代的にはずっと後出すが平安時代あたりで牛頭天王は羅睺、計都の信仰がどこかで集合しているのではないかと思っています。ドラゴンヘッドとドラゴンステイルですね。
これも竜蛇です。
神道では八俣のオロチ神話から歳徳神は櫛稲田姫だといわれているのです。
スサノオは八俣のオロチの尾から天之群雲之剣を採り出だします。これがのちにヤマトタケルが焼津で使って草彅之剣になる。熱田神宮の祭神です。熱田は器物神です。昔は倶利伽羅竜王で表現した。
スサノオも絶大なオロチの力を継承して持っている。間接的にはやはり龍神です。
妻の歳徳神も竜の娘ですからもちろん龍ですよね。
陰陽道ではその二人の神様の間にできたのが八将神
大歳神、歳破神太陰神豹尾神黄幡神歳殺神歳刑神、大将軍ですね。いい神様はいないんで皆すべて方位の祟り神。こういうのを方伯神といいます。
東京の八王子という地名ももとはこの神の信仰から出ている地名です。
歳徳神はお母さんでから「おふくろ様」の言うこときくんですね。こういう星の神様は。
私はいわゆる気学でいうような方位の考えと方伯神というこれらは区別しています。前者は一種の物理的存在。それに対して後者は精神的存在、つまり神様(習合無意識躰)です。
だから前者に当たる五黄殺なんてのはその方位に引っ越すなら三人いれば三人分拝むんです。一種の物理法則のようなものですから。
でも歳破神とか大歳神なんてのは一家単位で拝めばいいのだと思っています。
人数とは関係ない。神様をお慰めすればいいんですから。
金神とかそういうのも一緒。神様です。
山王七社にメンバーで入っている八王子権現は方伯神である八将神の総体です。
だから山王信仰はそれ全体が北斗七星信仰であるけど、そのうちにちゃんと地煞と言って方位神もはいっているんですね。
時間と方位で運勢を網羅する。
だからまるまる陰陽道の星信仰がはいっている。
時間としての北斗七星と方位としての八王子です。
北斗七星は昔は天の時計であり羅針盤のようなものです、時間によって12方位に先端が回る。
それで方位もわかる。
そもそも比叡山は都の鬼門。鬼門を守る神であった毘沙門天信仰から仏教が入ります。「鬼門信仰なんて迷信は仏教と関係ないから本当は違うんです。天台宗はそんなの関係ない。」とか言うのは歴史を知らない人の言うことです。
そういうほうが歴史に対する迷信です。
仏教の立場から違うものをすべて排除しようとするのは歴史的には無理です。
奈良朝末期の陰陽道的な星の信仰を抜いては山王信仰は決してわからないのです。