金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

猪頭の聖天様を考える。

聖天様の変わり種で女天が猪頭の双身天もある。
覚禅抄には出てきますね。それから三井寺のものにも聖天供の次第を見るとそういう聖天さんがいたらしい。
「発願文」に「象頭猪頭 夫婦二天」とあります。
現実にはなかなかないですね。
さるお寺で以前に小さい木天ですが拝見しました。
師匠も山形のお寺から預かったのがそれだったらしいけど、「なかなか、強い力を出す。」といっていました。
これは私は拝見しておりませんが。

この猪頭天はいったい誰なんだろうか?
歓喜天甚深秘訣」には猪面天の真言が出ているけど和製でしょうね。
この方はいったい誰なのか疑問なのですけど…諸説考えられる。
毘那耶迦女という実類天の説。
毘那耶迦は象頭とは限らないから。一応獣面人身でいろいろいることになっています。
この場合は常と異なり女天が実類、男天が権類か、もしくは俱実の天です。

或いは猪面であることからシャモンダ天。これは毘那耶迦とともに閻魔八眷属の類で荼枳尼の部類と言われる。荼吉尼天もこの八眷属です。
シャモンダはチャームンダーといい、チャンダとムンダという二人の阿修羅を降伏したところからそう呼ぶそうです。
ヒンドゥー教やっていた弟子の井口師に教えてもらった。
つまりはカーリー女神の一化身らしい。カーリーは大自在天でありシヴァの奥さんですから系譜からいえば妥当ですが…日本でそこまでひねったものつくるのかどうかですね。そこまではないかもとも思う。
その姿は病でやせ衰えた死神のようで、人々の苦を一身に受け止めているという地蔵尊のような恐ろしくも有難い存在だとか。フクロウや死者の上に乗っています。
シャモンダならこれは権実両方あるでしょうか。今のインドでは猪面で表現されるのは稀だそうですが立川武蔵先生の「女神たちのインド」に出てくる「女神の偉大さ」の挿絵では猪面です。

金剛面天という考えもある。これはビシュヌ天の化身。大地が水没した時引き上げたという猪面の神、ヴァラーハと同じと思います。
金剛界曼荼羅外部の二十天の一人。この外部の二十天のうちに聖天もいますし、大眷属の四部大将もいますから、個人的にはこれ等は皆、二十天のメンバーなので、原点的にはおそらく密教にしかない象頭、猪頭の歓喜天はここから出たと考えるのが一番可能性が高いと思っています。
チベット仏教だと女性系のバジュラ・ヴァラーヒー尊が主ですね。
誰がつけたか「金剛豚女」なんてセンスのない和名があるけど「金剛猪面天女」とでもいえばいいのにね。
バジュラ・バラーヒーはチベット仏教ではダーキニーの女王。
猪面じゃなくて頭の横に猪の顔が出ているのが多いですね。昔はもろ猪面だったんじゃないかな?
日本では七母女天のひとりで「吠瑟拏微」とも書く。これ音写です。ビシュヌ天の女性形でビシュナビーなんでしょうね。もともとは。
七母女天も閻魔天もしくは大黒天の眷属ですが、インドではしばしば歓喜天であるガネーシャやクマラ天とも一組で祀られているそうです。
一度行ってみたいですね。インド。

インド人の霊能者からも「あなたは何度もインドに生まれているのになぜいかないのか?是非行くべきだ。」と言われたことがあります。
その人の話では私は今回で地球での転生はどうやらおしまいらしい。(次はどこ行くの?バルタン星かしら。)だったら記念に是非行きたいですね。
でも、一人だと言葉もわからないし・・・誰か行くなら是非ともいっしょに連れて行ってほしいなあと思います。誰もおらんけど(笑)
象頭猪頭の天尊は扱いがむつかしいと聞きますが・・・マアそうでしょうね。象さんは人間のいうことよくきいてくれるけど猪はそうじゃないからね。
だけど摩利支天みたいに猪突猛進でご利益は尽疾かもしれませんね。

実は私が初めて見た聖天様の絵というのが象頭猪頭でした。
だから学生の頃はずうっと私は聖天様というのは象頭猪頭なのだと思っていたんです。
普通、両方とも象さんと聞いて逆に「エ?…そうなんだ!!」と思った。
象頭猪頭の天尊像を今回鋳造しようと企画しています。