金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

何故、講員制度にしたのか?

何故、講員制度なのですかと時々聞かれます。
ひとことでいえば祈願の前に道理の話をしたいからです。
言い方変えますと闇雲に「とにかく理屈はどうでもいいから言われたことが叶うように拝めよ、それがお前の仕事だろ。」というような人は相手にしたくないからです。

この仕事していると時々「いったいどう考えたらいいのかわからない」というような変な頼みごとをされたりします。

特に若いうちはわけわからず迷いました。
こんなのがありました。遠方なので電話のやりとりなのですが…。
ある女性から「土地を売りたいので拝んでほしい。」という依頼。
それ自体は別に何も問題なかったのですが・・・
しばらくしてその弟という人から「土地を売るための祈祷は断固取りやめてほしい。」という電話がきたのです。
「母も反対だし、絶対にそれは拝まないでほしいんです。断ってください。」とこれを再三言ってくるのです。
多分、祈祷の件は姉から聞いたのでしょうね。聞けば一つ家の下にいるとの事。
考えてみれば不動産屋などに売りに出さなければ売れるわけないでしょうから形としては売りに出てるんでしょうね。
ならそっちを取り下げれば問題ないはずなんですが・・・
とにかく「それでは当方はやりように困るので、祈願するか否か兄弟で話し合って結論出してほしい」というと、

「いや、絶対に祈願はやめてください。姉は非常に支配的で身内の言うことを一切言うことを聞かないで何でも思うようにする人間だから話合いはできないんです。それはそちらから断ってくれねば困ります。」との事。しかも、この話自体も一切聞かなかったことで頼むとの事でした。

こういうのどう思います?私もない頭ひねったけど断るといったって断っていいものかどうかもわからない・・・。でも断らないと家の人は困るというし・・・

そうこうしていると、かたや姉の方は矢の催促で「早く拝んで下さい。まだですか?」と言ってくる。
弟さんからの話もあるのでのらりくらりといい加減にかわしていると、しまいには焦れて「なぜ早く拝んでくれないのか!いったいなぜですか?」と強く抗議するように言うので、もうほかに仕方なしに実はかくかくしかじかで…「そのように御兄弟で意見が割れていてはこちらとしてはどうしていいのか判らず困ります。」というと…かなりショックだったと見えて電話は一方的に切れてしまった。

そのつぎに電話が鳴ったかと思うと今度はファックスでその当の弟から「なぜあれほどいってくれるなということをいったのだ。姉はおかげで錯乱状態である。姉にわかってしまった以上はもう仕方ないから、あんたは責任取って早々に祈祷してください。」という意味のファクスでした。

…「責任とれだと!!」これにはブチ切れました。
すぐに電話すると姉が出た。声も蚊の鳴くようでしょんぼりしている。
「あなたの弟さんを出してください!」その時はそうとうの剣幕でいったのだと思う。
「…弟はさきほど出かけました。いません・・・」
「・・・ふざけるのもいい加減にしてもらいたい。一つ家でバラバラなことをさんざ言ってきて終いには責任取れとは何事か!文句があるなら聞いてやる。ないなら二度と電話してくるな。」というと、「わかりました。わかりました。もう二度と電話しません」と逃げるように切られた。
まあ、もっともそのあとでその姉弟が私の悪口という共通点でもりあがれればまだ関係修復できるなとは思いました。だとすればよいことではないが電話口で怒鳴ったのも必要悪かな。手前味噌が辛くてスミマセン。

これほどのことではないがほかにも色々ありましたね。
この経験から
1 道理に合わぬことは受け付けぬ。
2 依頼者だからと言って道理がおかしいものは味方もしない。
3 他人のもめごとに参加しない。
ということを学びました。
私が時々このブログでも「私の知ったことではない!」というようなこと言いますがこれはそういう訳です。

もし、これがとたえば、同じカップルで別れたい人と別れたくない相手の双方から祈願が来たらどうします?方や分かれる祈願、方や別れない祈願。
道理がないままに頼みごとを聞いていたら明らかに矛盾してしまいます。(金祓いのいい方取りますか? (笑))
ここに仏教に照らして考えるという知恵が絶対に必要なのです。
だから仏教の教えなんてどうでもいいからとにかく拝んでくれは・・・お断りです。それではただの拝み屋さんで仏教にはならないでしょう。
あきらかに精神疾患であるのに自分の感覚だけで「とにかく、憑き物だから払っても欲しい」というのも言うことは聞けません。
あんまりいうから引き受けてもあとで違うとなったらこういう人は文句しか言いません。
だから絶対やらないし、やってはならないのです。

実際外部から「講員にはなれないのだけどなんとかして」ということで難しい祈願を頼んでくる人はほぼ100パーセントお断りしています。
なりたくてもお金がないとか言うのは別にして・・・
「どうしても講員にならないと御祈祷はしてもらえないんでしょうか?」というその質問していること自体がまったく講員制度にしている趣旨をご理解いただいていませんので
「いいえ、嫌なものはなる必要は全くないんですよ。それは当然ではないですか?ただ、よその祈願所に行っていただければいいのですから・・・」と答えております。

他にも新宗教を信じて入れ込んでいる息子を取り返してほしいなどというものもありましたが、「その件であなたと私の宗教的な見解が一致しているわけでないでしょう。いかなる宗教をご子息が信じているのか知りませんが私にはそれを阻止すべき理由がないのでお断りします。この問題はまず弁護士か警察に相談に行きなさい。」と言ったら、「ああ、そう他人事だっていうんですね。よ~くわかりました。フン!」やおら怒って電話たたききったオバハンもいます。
このひと、他の宗教なら敵として即私が戦うとでも思ったのかね。
もちろん他人事ですとも。その他人ごとを人に何とかしろというのならこちらの話にも耳を傾けて頂けないと無理ですね。
わたしゃウルトラセブンの命令で戦うカプセル怪獣じゃありませんよ。
それで祈願の前に私の話を聞いてくれない人はもう祈願をするのは金輪際やめようと決意しました。

こういうのがあって今は講員制度ということになっております。
あしからずご理解を乞う。