「準胝仏母独部法を伝授されて何日かした2月27日東京護国寺の香雲堂さんに安息香をわけてもらいに行きました
安息香のほかにキリスト教の教会におろしているという福音香というのもわけてもらいました
本来お寺さんだけ相手にされているところ、戦後物資が入ってこなくなり、キリスト教会から相談されて調合してあげていまでも販売しているそうです
わたくしは子供のころにカソリック教会に出入りしていたので、なつかしい香りなのです
かえりがけに、塗香にはまたたびがはいっているのですかときいたところ、なんとかという材料に反応する猫ちゃんがいますとのこと
猫を飼っているんですかときかれ、はい、でも18才で死んじゃったんですと答えたところ、うちにも、つがいでいたんですが18才で亡くなってしまい、しばらくはペットロスでねえとおっしゃいました
なんでも、ある日お店の前の駐車場の自動車の下にうずくまっていたそうです あとで獣医さんにつれて行ってわかったことですが、
あばら骨が何本か折れていて腹膜が破れていて胃が肺を圧迫して呼吸困難になっていたとのこと お店の奥が自宅になっていて、自宅の玄関のほうから声をかけるとその猫ちゃん そんな状態なのに歩いてきてなついてきたそうです あとでわかったことですが、その猫ちゃんあまり人間がすきではなくて、そのときはここで助けてもらえるという一心でなついていったみたいです
お香に毛が混入したりするとまずいので本当はいけないのですが飼わざるをえなくなって、もう一匹雌猫をもらってきて仲良くつがいでかっていたそうです
晩年腎臓がわるくなって、毎日のように点滴を受けに獣医さんに通っているうち、獣医さんが治療費の負担を気の毒がって、自宅で点滴をするようになったそうです。すると、これは自分の寿命を長らえるものだというのがわかるらしく、猫ちゃんもおとなしくうけていたそうです
すみません 以上そんなことがありました
わたくし 安息香は以前鳩居堂で購入した電気香炉で焚いております それがいちばんうまくいくので」
安息香のかおりが呼び覚ます猫ちゃんの思い出ですね。
こういうお話はしみじみです。
犬でも猫でも私たちより命の短い生き物たち。
そこに私たち自身の人生の縮図のようなものを我々は見ているのかもしれませんね。