しかし、いったんはフランスに嫁ぎながらも帰国して難敵イングランドを向こうに回し、自ら辣腕をふるってスコットランドをきりもりしてきたメアリー女王ですが、彼女は権力を欲しがる男性達。夫にも、異母兄にも、側近にも結婚を餌に裏切りに次ぐ裏切りをしかけられ、終に城を出て逃亡の身に・・・
でも彼女はリーダーであることを最後まで放棄しなかった。
退位して普通の女性として歩むことは決してしなかったのです。
あばら家ではじめてあったふたりははなします。
メアリー「女王同士ならきっと分かり合えるはずと思っていました。決して男たちに支配されてはならないと・・・そうでしょう?」
エリザベス「私は女であることを捨てて男になったの…あなたは私のできなかった結婚もした。子供もできた。そして美しく聡明な女性です。(エリザベスは天然痘で美貌を損ない白塗りの化粧に頭には鬘をつけていました)
どれをとっても女性としては私はあなたには勝てぬ…だが今となってはそれがあなたの弱点になったのだ。」と・・・・
今はおもてむき男女同権の世の中ではありますが女性のリーダーはどうあるべきかは今もって非常に難しい問題だと教えてくれた映画でした。
どうしたらよかったんでしょう。
メアリーもエリザベスのように男のように生きればよかったんでしょうか・・・?
この映画、女性ならぬ身の私にはなかなかの難問です。
自分に置き換えたら結局面倒くさくなってエリザベス的に生きる道を選んでしまうかも・・・孤独は敵味方がはっきりしない世界ではある意味もっとも安全ですから。
でも彼女は彼女で決して楽な女王ではありませんでした。
色々な外憂内患にさらされ。丁々発止の外交をこなし、波乱万丈の一生をおくったことはメアリーに少しもひけをとりません。
然しながらこの映画の救いは、というより歴史の救いはメアリーの子がジェームズ一世となってエリザベスの後をつぎ、英国の統一を果たしたことです。
子供の産めない女性は価値が低いなどとは申しません。
しかし子供を産むということはどんなにがん張っても男性に出来ぬ絶対の恩恵であることは確かです。
一休のうたった「世の中に女ほどめでたき物はなし。釈迦もダルマもひょいひょいと産む」が思い起こされます。
命をつなぐ・・・そう考えれば結局勝ったのは女性であることを捨てなかったメアリーなのかもしれません。