整体の先生から「夏休みはとらないのですか?」と聞かれた。
「そうですねえ。外出は別にして寺にいる以上は常時スタンバイです」というと
「休みはとらないといけないですよ。」といわれた。
そうかもね。
肉体労働ではないが,ずっと脳は休んでいない気がする。
最近はどうも数も昔に比べ膨大なせいか、発送すべき御札などが抜けたりすることが多い。お施餓鬼などの依頼は今年はかってない数量になった。
大きな寺ならそのくらい当たりまえ、もしくは少ないのだろうが、うちのようなところで一人でやっているには多すぎるのかもしれない。
年齢もあるんだろうね。違う人のお札を送ってしまうこともある。
そればかりか、この間もうっかり中限破門札殺のお札を送り忘れて期間を過ぎていしまったのでお金をお返しした。
実に申し訳ないかぎりだ。
うちの師匠も人型は毎月300枚を超えていたので四六時中、仕事部屋でひとりで人型書いていたし、
「あの祈祷どうなりました」「あ、まだしてないや!」ということも時々あった。
人型は全部手書きだ。
お手伝いしようにも師匠は若いころ京都で字を教えていた人なので私らが悪筆でたいしてお手伝いはできない。
ついに「月に一週間は休みます」ということにしたが、結局なし崩しになってしまった。
それはそうだ。家にいれば電話は来るし、出れば「子供が急病で」などと聞けば「今週は休みのでご祈祷はできない」とも言えない。
「人の苦難にお休みはないからね。だからこの仕事に休みがないのも仕方ない。」と苦笑いしながら元のサイクルに戻ってしまった。
師匠は病気一つしなかったが夜間、睡眠中に突然亡くなった。70歳でした。
そういう長年の無理が重なったのかもしれないが「まあ、行者はそんなものだよ。」と教えられた気がした。