金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

理趣分霊験の秘密

理趣分経は大変霊験のあるお経であると言いましたがそれは何故でしょう。

第一にこの経は大般若経六百巻中の白眉ともいうべき読経です。そして、その内容はほとんど密教思想と云ってもよい深遠な真理を説く御経であること。つまり経自体にそうした神秘の力があることです。そもそも大般若経を安置すればその所は仏塔にも等しい聖地となるといいます。その大般若経の中で最もありがたいのが理趣分です。

第二に般若とは仏の知恵そのものです。この智慧の尊格としての働きがそのまま仏になったのが密教でいう「般若菩薩」です。般若菩薩は仏としての救済力を智慧の面から発揮します。理趣分作法にもこの般若菩薩の真言は出てきます。つまり理趣分はいいかえれば仏智の頂けるお経なのです。

第三は般若経は転読でも真読でも最後お経をバラバラ転じます。この時起こる風が般若の梵風と言われ、この梵風に当たる者を諸々の魔事災難から護ります。別座の御祈祷には最後にこの梵風で参詣の方をお加持いたしております。

第四は大般若経には十六善神深沙大将という大変強力な神様が守り神になっています。このため般若経を読む道場には必ず十六善神のお曼荼羅を掛けます。十六善神は名前のとおり十六柱の強力な神将でなかには毘沙門天持国天、金毘羅神王(金毘羅様)のようなよく知られた方もいます。また深沙大将は半裸赤色の蛇を手にした炎髪の恐ろしい奇怪な神ですが、実は砂漠の龍神であり、西遊記沙悟浄のモデルとして識者に有名です。寿命を護り、魔を降す毘沙門天の化身ですが我々を悟りの世界へと導く鬼神でありながら極めて尊い神でもあります。こうした神々が本尊に加えてお働き下さるのもご利益の大きな秘密です。