金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

身体には「気」が流れています。松江堂薬局のブログ

 

体の中には気が流れていて、そのため呼吸もできるし食べ物も消化吸収ができる。心臓から全身に血が流れるのも気が血を推しだしてくれるからです。

同じ速度、方向に規律をもって気は流れます。肺の気は発散、粛降を交互に行います。これで吐いて吸ってができます。この気の流れが乱れると呼吸が困難になったり喘息になったりします。

胃の気は下に下ります。だから食べ物は下に移動しながら消化され便として排泄されます。この流れが狂うと吐き気がしたり便が出なくなります。

気は中医学の概念であり目には見えず現代医学ではこうした気の概念はありませんね。

イライラして怒るとき気は上に上がりますので顔が真っ赤になり目は充血します。興奮してめまいがしたり頭痛がしたりする人もいますね。

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気が逆流

中国の健康法では気の流れを整えますが太極拳がそのよい例です。

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気が流れています

気の流れは現代医学にはない概念なので、医師や薬剤師が調べる漢方薬の能書にはそういった記載はありません。ただ症状の羅列のみです。この能書頼りで漢方薬を処方されると副作用ではない副作用に悩まされることになります。

ある患者さんは情緒障害の診断を受けているのですが、なんにもやる気がなくて悲しくて辛い状態でした。内科を受診した際にそのことを告げると「補中益気湯」が処方されました。

この処方は気が不足してしまい疲労倦怠がある人に使いますが、情緒障害で家で療養している彼女には気が不足するような病因はありません。気はあるが気の流れが悪い状態でやる気が起こらないのです。

気の流れが悪いときに気を足してしまう漢方を飲むと、交通渋滞はさらに悪化します。気が流れないのに気が増えると、患者さんはソワソワし始めいても立ってもいられない状態になるでしょうね。

でも補中益気湯の副作用情報にはそのような記載はないので、医師に訴えても、理解してもらえないと思います。

ニュースでLINEで症状を入力して漢方薬を決めて宅配するのが繁盛していると聞きました。薬剤師がいなくても薬が決められるので人件費いらずで安価にいつでも漢方薬が買えるそうです。よくネット広告で出てくる、生年月日を入力すると運勢がでてくる無料占いと同じレベルです。同じレベルで選ばれた漢方薬は効くのかどうなのか。1万円ならまぁいいか。

漢方理論を理解していいないで症状だけで選ぶ医師、薬剤師。お手軽なネット相談。これらはこれからもあるでしょう。

漢方では望診といって体を観察して情報を得る診断方法があります。LINEではできない芸当です。同じ湿疹でも局部を見ないと漢方は選べません。ただ今の時勢では外出もままならないですから、僕もオンライン相談をZOOMで計画しています。