「彼は体育の授業が1限2限にあると、いつも遅刻して登校してくるんです。不良ぶってカッコつけているというよりも、嫌なことは嫌だという、ワガママなタイプだったように見えました。それがきっかけで『あいつ、調子のってるよな』ってなったのだと思います。 その後、2年生になってからは見かけることも減り、彼は授業には出ずにカウンセリング室に行っていたようです。もっとも、殴る蹴るのような暴力を受けていたわけではありません。他にも男女共に中学生ならではの多少のいざこざや“イジり”みたいなものはありました。彼が特別に凄惨ないじめを受けていたわけではなかったと思います」
こういうことを弁護士は理由にするだろうが、勿論許されることではない。
刃渡り13センチのナイフまで忍ばせていたらしい。
持ち歩ける長さの刃物だが、凶器とみなすべきだろう。
単なる騒動を起こすというより殺意も秘めていたとみなすべきだろう。
現代の子供はあまりにストレスを受けることに慣れていない。
どこまでもそういう教育だからだ。
極端に言えばそこは守られた赤ちゃんのままだ。
此の容疑者もなにも苛め抜かれていたわけではないようだ。
以前、ある学校で悪事を働いてある優遇処置が取り消しになった子供もいた。
親は「人間関係のストレスからそうなった。学校が悪い!」と激しく抗議。
優遇処置を回復させろといったそこをなんとかならないかとお願いするのではなく被害者なんだと抗議する。
だが筋が違う。
そう言う筋違いは教育の場では断固通用させてはならない。
だが実際は蚊がさしたようなことも学校の責任にする保護者もいる。
そういう風ならドンドンこの容疑者のような人間を作ってしまうだろう。
人は弱さから悪事を働くことは多い。
弱ければ自分を制止できない。
だがその弱さはある意味気の毒とはいえ、行為の正当な理由にするのは間違っている。
全くストレスもいじめもない世界などどこにもなのだ。
世間はある意味理不尽でできている。
世の中に出ればその理不尽さから自殺したり、悪事に走る人が出ても不思議はない。