今の時代、金銭以上に貴重なのは「自分をしっかり保って安全に過ごせること」だ。
ここの町にはそれがあるのだろう。
そして日本の原風景があるように思う。
昔はよほどでないなら自殺などはしない。
徳島県海部郡、遍路で何度となく訪れたが海風と光にあふれた良い街だ。
美しい竜宮城を思わせる四国霊場23番・日和佐の薬王寺の前の浜にはウミガメもやってくると聞いた。
都会という場所は「画一された価値観」からはみ出したものが蔑まれ、落ちこぼれていく。
その頂点には絶対的に「経済」つまり「金」があるからそうなる。
資本主義の毒だ。
欲望達成こそが輝かしい進歩だと高らかに歌う。
仏教の理想とは逆だ。
金と言えば目の色も変え、考えもコロコロ変える。
そこに人としての徳はありえない。
ものの進歩と人格の進歩は違う。
加えて飽く事なき「承認欲求」に蝕まれる。
言いたいことも言えず付和雷同の世の中だ。
皆、鬱々と生きている人が少なくない。
それで精神疾患を扱う病院はいつもにぎわっている。
多くの支持を得れば、結果「金」が手に入る構造がこの世の中なのだから自然とそうなる。
それが現代社会の病巣になる。どこまで行ってもその心に安心も安全もない。
だから人も信じられないのも当然だ。
金は大事だ。
だがいくら大事であってもつまるところは、それはどこまでも安全安心に暮らすための道具ではないか。
人生の目的ではない。
賢者はそれを取り違えない。