私の小僧時代、業界のライバルから式を撃たれた信者さんがいて師匠がそれを返した話。
式は動物をいたぶって殺して付けたもの。
無論、術者の手によるもので依頼された術だったそうだ。
言っておくがこういうのは一種の民間伝承の妖術であって仏道には無論ない。
私の師匠はこの時、式神を霊媒に移して交換条件を出してほどいた。
式は条件を呑んで相手のもとに還っていった。
呪詛の式神は大概そのものが術者に呪縛されているので基本的にほどいて自由にしてやればそれでいいのだそうだ。
討たれた信者さんは相手を思しき人に「アンタ、邪悪なまじないなどを使っても無駄だぞ!」とその話をすると「なぜ、それを知っている!?」と驚いてつい口走ったそうだ。
相手はその後、奇妙な病にかかって死んだ。
式が返された時はそんなものだ。
相手を命まで奪おうとした場合、術がほどければ大方病などで死ぬという。
対抗して呪詛の戦いなどすればよく言う「穴二つ」だが、この場合は穴は式をうった人が入るひとつだ。
故に師からは向こうを張って式神の打ち合いなどしてはならない。
それは弾道弾ミサイルの打ち合いのようなもので双方が傷つく。
故にそのまま返せばそれでよいのだと習った。
師匠のころの四国と言う土壌の修験にはそう言うことがまだ生きていた時代だ。
少し前にさるひとより石鎚山系の昔の文書を頂いたが蟇目などの呪詛返しや悪霊返しが多いようである。
一番簡単な方法は「念彼観音力 衆怨悉退散」とこれでよし!と安心できるまで唱えたらいい。何べんと言う縛りはない。一辺でも三千遍でもいい。
言っておくが観音への信仰が全くわかない場合はいくら唱えても安心はないだろう。
安心がないなら呪詛は返らないと思う。