夕べテレビで見た映画。
スウェーデンの映画。
同名小説の映画化。
あらましは上をクリックすればわかるが、実はこの映画の主人公は少しも一人ぼっちではない。
世間に対して厳しい警戒意識のある人間はしばしば一人好んで孤独になる。
その方が安心できるからだ。
彼もそうした人間。いわゆる頑固ジジイだ。
そうした人は実はうるさく言って人を遠ざけ、自分を人から傷つけられることから守っているデリケートな人間でもある。
口うるさいのはそれだけ些細なことにダメージを受けるからだ。
見方を変えるなら人里を避けて深山幽谷に住むワシやタカが強い鳥に見えるが、実は人間がうようよしする都会でも生きていける鳩やカラスの方が強いのだ。
だがこの老人もあつかましい隣人たちに徐々に心を開く。
小難しい顔をしながら、しまいには傷ついた猫を助けて飼い、家から追い出されたゲイの少年の面倒まで見る。
この映画いわゆる孤独死するような孤独な老人の映画ではない。
彼は人とつながってきたし、厚かましい隣人たちのおかげでそれを再開しただけだ。
勿論、人は何かのきっかけで人や社会とつながれなくなるかもしれない。
この彼の場合は妻の死だった。
だがもともとヒトは群生動物だ。
それは意外とたやすく解決する可能性は常にそこにとあるのだ。
多くの人が孤独死していく日本。それはあまりに無用な人間の干渉を排除し自分だけの快適な空間を求めた結果起きる一種の矛盾ではないだろうか。
厚かましい隣人などいない国。
それが証拠に家のベルを押せばドアを半開きにして「・・・なんです?」と必ず怪訝な表情に満ちた顔で出てくる人はこの国にはたくさんいる。