漢方薬には上薬、中薬、下薬という概念がある・
上薬とは健康のために常々用いてよい薬 言ってみれば食べ物の類
中薬は必要に応じてよく用いる薬 普通に言う薬 薬屋で売っているような薬
下薬は効き目は強烈だが長い服用はしてはならない扱いが慎重な薬だ。医師から出るような薬
とりわけ天台宗で重んじる密教経典「蘇悉地羯羅経」の中には悉地に三あるという
上悉地は仏部に代表される息災
中悉地は菩薩の蓮華部に代表される増益
下成就は明王や諸天等金剛部に代表される降伏
これ、ちょっと似ているなと思う。
薬に副作用があるように法にも副作用があるかと聞かれた。
確かに伝法受けて熱心にすればするほど良くないことがどんどん起きる。
そういう報告はある。
だがそれは副作用ではない。正しい効き目なのだ。
それはいわばデトックスだ。毒だしだ。
学生時代はじめた私の聖天信仰はそうだった。
聖天信仰すれば人生にアラジンの魔法のランプを得たようなものとかいた本もあった。
それで「シメシメ。良いことがあるかも」というスケベ根性とは裏腹に、次々とこれでもかと痛い目にあわされた。
「そんなはずはない」「そんなことあがるわけない」と思って執着が強い私は在家ではあるがますます火が出るほど拝んだ。
後の師である先代の白戸先生からも「それだけ拝めば、業が出てもそばから解消していくよ」といっていただいたが、実際はそんなに甘くなかった。
もう、あまり辛いのでもうやめようかと思ったこともあるが、やめようとすると今度は聖天尊の方から追っかけてきた。
そういうことはあった。
得度してからもいろいろあってもう辞めようかと思ったが、姉弟子のN師に「羽田さん、あんた変なこと考えているでしょう。それ絶対ダメですよ!」と看破された。
この人は真実に霊能者で彼女の言葉で実に多くのはげましと示唆を受けた。
比較的若くて亡くなったが今でも深く感謝している。
それだけ荒療治が必要なほど私という罰当たりは毒がたまっていたんだろう。
一代や二代の毒ではないかもしれない。
だが、たまっている毒を出さずに健康にはなれない。
准胝独部法は広い意味では如来に属するので上悉地の法だがそれでもシンドイ思いをする人もある。
だがデトックスは必要だ。
勇猛心を起して頑張っていただきたい。
准胝の儀軌に言う「黒いものを吐く」というのはそういうことだ。