「それ、トラウマになっているんです!」という言葉をよくきくが、正確に言えばトラウマはそのように「意識して認識できない心的ショック」のことを言う。
森田正馬博士は森田療法の祖。
専門はノイローゼだが、ヒポコンドリー基調という独特な理論があり、「森田 神経症」というものが提唱される。
博士は「ノイローゼを病気として扱うならそれは絶対治らない」という。
もともと持っている活力を抑え込んで誘導する七日間絶対臥褥という森田療法はここから生まれている。
おなじようにトラウマもトラウマという怪物を思い描いて戦おうとしても無理だ。
心理学的にそれは存在するかもしれないが、それを退治する方法は認めて組み合わぬことだという説がある。
お化けは光を当てれば消える。
金剛経に言うようにトラウマはトラウマに非ず、これをトラウマという。
これは悪い因縁が…というのと同じ。
悪い因縁は悪因縁に非ず、これを悪因縁という。
ノイローゼ、トラウマ、悪因縁
人は問題を処理するために言葉を作りそれをくくる。
言葉は箱だ。
処理できなければ逆にその言葉に踊らされてしまうものだ。
箱なんか中身を入れ替えればいくらでもできる。